ドメスティックな彼女 82話 大切なもの

公開日:  最終更新日:2016/02/03

夏生、編集部にて打ち合わせ中・・。

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結構褒められている(途中まで)。

「面白かったよ。
特にあの異星人との交渉シーンは見事だったね。
テンポもよくて、内容が入ってきやすい。
主人公の性格も立っているし、買い取り水準は満たした読み切りだと思う・・
が、受賞作を超えない。
着実に表現の幅や、技術は上がっているものの、その器用さが、作品をありがちで大人しくしてしまっているように感じる。
受賞作にはこう・・内側から絞り出たような、ヒリついた実感ある言葉や表現が光っていた。
俺はそれが君の持ち味だと思っているんだ。
逆にそれがなければ、ありきたりな話にしかならない。
そういう作家性の面で言えば、同じく見せてもらった後輩の芝崎君の作品だけど・・
確かに現時点では、描写力、構成力ともに君を超えるものではない。
しかし、この世界観の作りこみや、細部へのこだわりは、今の若い作家には少ない独自性を感じるよ。
他の作品を見てみないとはっきりとは言えないけど、もし彼が今持っていないノウハウを身に着け始めたら、君を脅かす存在になるかもしれないよ・・?」

編集長と夏生

夜、机に向かっている夏生。

だいぶ煮詰まっている様子。

ゴミ箱に原稿用紙が入りきれないくらい捨ててある。

「ナツオごはん。」
と呼びに来たルイも心配そう。

翌日、職員室。

夏生が作品を桐谷先生に見てもらっている。

桐谷
「うーん。
話運びにキレがないですね。
これ、蔦谷さんは何て?」

夏生
「あ・・これはまだ見せてないっす。」

桐谷
「そうですか・・
正直これではキビシイと思いますよ。
最後まで読んでも、これで何を表現したいのかという、核がぼやけている印象です。
これでは週一で提出していた短編の方が出来は良かったですよ。」

夏生はそれからも根をつめて書き続け、しかし、表情はずっとさえない。

そんな夏生の様子をずっと気にしているルイ。

夏生とルイ

そしてある日の夜。

夏生は相変わらず机に向かっている。

そこにルイが入ってくる。
「お風呂空いたよ。」

夏生
「あー、俺明日の朝シャワーで済ますからいいわ。」

「まだやるの?」

「うん、明日土曜だし、見通しつくとこまで頑張ろうと思って。」

心配そうなルイ。
「じゃあ、ちょっと休憩しなよ。
母さんが貰って来たお菓子もあるし。」

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リビングでルイの淹れたコーヒーを飲みながらお菓子をつまむ夏生。

夏生とルイ

ルイ
「なんで小説家目指そうと思ったの?」

夏生
「なんで・・か・・
はっきり目指すって決めた時期とかは覚えてないけど、小中と本ばっか読んでたからかな。
そのきっかけはやっぱ、母さんが亡くなったことかな・・
泣かないって決めてたのに、少しのきっかけですぐめそめそしちゃっててさ。
だんだん出かけたり、外で遊ぶことも少なくなって、母さんの部屋に閉じこもることが多くなった。
そんな中で、本好きだった母さんの本棚にはいろんな小説があった。
子供には難しいやつが多かったけど、ファンタジーや童話集・・読めそうなものから手を出していったんだ。
そしたら、亡くなった母さんのことしか考えられなかったのに、本を読んでいる間は、驚くほど忘れられた。
もういないことも、寂しいことも。
読んでいる間だけは完全に本の中の世界に行けたんだ。
そっからはもう本の虜。
”へえ!”って思ったり、グッと来たりが楽しくて、俺の半分以上は本でできているってくらいどっぷりだった。
この楽しさをあげられたらなあと、思ったんだよな・・」

ルイはその話をずっと笑みを浮かべて聞いていた。

翌朝(土曜日)、ルイは寝ている夏生を叩き起こす。

ルイ

夏生
「は?何言ってんの?
俺遅く寝たし、今日も小説書かねーと。」

ルイ
「そんなん知らないし。
今朝テレビで美味しそうなかき氷紹介されてたの。
それ食べに行くの、つきあって。
昨日私が淹れたコーヒー飲んだでしょ。」

しぶしぶついていく夏生。

近所のカフェかと思いきや、山道を登っていくルイ。

夏生はぼやく。
「あーもー、こうしてる間にも何枚原稿書けることか・・・」

ルイ
「その時間かけた原稿がゴミ箱一杯になってたようですが?」

夏生、グサッとくる。

ルイ
「図星なら黙って歩く!」

夏生とルイ
夏生

喉も乾いているしで、相当うまかった様子。
「ちょっと街中では味わえねえかも!」

店を出て、夏生
「さ、目的も果たしたし、帰るか。
遅くなったら親父たち心配する。」

ルイは「なんの、まだまだ。」と言って、さらに上に登っていく。

夏生
「お、おい、どこまで登んだよ!
明るいうちに山下りねーと帰り危な・・・」

そこまで言いかけて、夏生の目の前に現れたのは、

景色

ルイ
「これを見せたかったんだ。
テレビではこの景色も紹介されてたの。
生で見たらすごいだろうなって思って。
小説の要って・・・
どんな方向性でも大事なのは心を動かすことじゃん。
だからあんたも小説が好きで仕方ないんでしょ?
それを生み出そうとするなら、自分がちゃんと感動しないとさ。
机に向かってばっかじゃ、穴から抜けらんないでしょ?」

夏生はルイの横顔を見ながら、フミヤに言われた言葉を思い出した。
”お前、いつもルイちゃんに救われてんな。”

ルイ

–82話ここまで

○感想

朝一で家出て、かき氷食べたの夕方前ですか。

お疲れ様でした。

その疲労も相まって、感動もひとしおだったのでしょう。

今回はお色気なしでした・・・

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