風夏 107話 城ヶ崎にて。

公開日: 

優は伊豆に向かう電車に乗っていた。

スポンサードリンク

回想

天谷社長
「碧井さんの実家?」


「はい。
社長ならご存知かと思って・・」

「・・・それを聞いてどうするつもり?
大体の事情は彼女から聞いたけど、あなたたちはもう会わない方がいいと思うの。」

「え?」

「だってそうでしょ。
間接的とはいえ、加害者と被害者なんだから。
会ったところで、お互いが傷つくだけなんじゃないかしら。」

「・・・・
それでもこのままじゃ納得いかないんです!
とにかく会ってアイツと話さないと。
気持ち悪いんですこんなの!!」

「自分勝手というか・・
随分なエゴイストね、貴方も。
・・・ま、いいわ。
何を話すつもりか知らないけど、そこまで言うなら教えてあげる。
ただしどんな結果になろうとも、しっかりとそれを受け止めることね・・・」

城ヶ崎海岸駅に降り立った優。
「ここがアイツの育った町か・・・」

しかし時間はすでに夜の9時半。

「何だか勢いできちゃったけど・・
さすがに迷惑だよな、こんな時間に行ったら。
とりあえず今夜はどこかに泊まって明日の朝にでも・・・」

しかし、見渡したところ、宿泊施設らしきものは見当たらない。
携帯も持たない優はなすすべもなく立ち尽くす。

「どうしよう・・・」

そこに声をかけてくれる親切な人が。

元メンバー


「ハ・・ハイ。、あの・・どこかでお会いしましたっけ?」

「忘れたのかよ、リベリオンで会ったじゃん!
碧井の元バンドメンバーだよ!
つーかマジで何してんのこんな所で!
ライブかなんか?」


「いえ、その・・碧井が急に実家に帰っちゃったんで・・・
会いに・・・ていうか・・・その・・話を・・・」

「は?急に帰ったって・・・
お前らが一緒にバンドはできないって言ったからだろ?
それで諦めて帰ってきたって言ってたぞ、碧井。」

優「え?」

「え?」

蕎麦屋に入って話をすることに。


「へえ・・・
それじゃ3人は同じ大学なんですね。」

「ああ、サークルも一緒だからよく遊んでるんだ。
しかしまぁ・・そーゆーことだったのか。
アイツが帰ってきたのは・・・
おかしいと思ったんだよ。
あんだけ音楽が好きだった奴が急にこっちに帰ってきて仕事探すなんて言ってるから。
けど・・そうか・・・
お前らのバンドのボーカルだったんだ。
・・・あの事故で亡くなった子。」


「碧井もそれを初めて知ったみたいで・・・
バイトも急に辞めちゃって・・・」

「それで?お前は納得がいかないからアイツに文句でもいいに来たわけ?」


「そ・・そんなんじゃ!
・・いえ、自分でもわかりません。
アイツに会って何を話せばいいのか・・・でも・・・」

「あのさ、今夜泊まれるところは教えてやるから・・・・
悪いけど碧井には会わずに帰ってくれよ榛名・・・」


「で・・でも。」

「仲間なんだ!
君らにとって亡くなった子が大切だったように・・・
僕らにとっても碧井は大切な仲間なんだよ。
彼女とは高校で知り合ってバンドを始めたんだけど、事故があってから学校にも来なくなってさ・・・・
卒業も近かったしこのままバンドも自然消滅かと思ってたら、一か月ほど経った頃急に・・・」

スポンサードリンク

碧井
”お願い!
私とリベリオンに出場して!!
どうしてもみんなとプロになりたいの!”

「さすがに俺らはプロになる気はなかったけど・・・
それでもアイツが元気になってくれるならって思って出場したんだ・・・」

「そしてあいつはインディーズとはいえプロになった。
ちょっと驚いたよ。
そこまで本気だったなんて。」


「・・・・あの・・・
どうして碧井は急にプロになりたいって思ったんですか?」

「この前フェスでアイツにあった時教えてくれたんだよ・・・」


碧井
「私事故があってからずっと考えてたの・・・
自分に一体何が出来るだろうって・・・
そん時たまたま聴いてたラジオからヘッジホッグスの曲が流れてきてね。
それがすごく心に響いて・・・
こんな自分でもいつか、歌うことで誰かの心を救うことが出来たら・・・
それが自己に遭わせてしまった子への唯一の償いなんじゃないかって。

碧井

「いっとくが、あの事故は碧井のせいなんかじゃないんだぞ!?
それでもアイツは亡くなった子に心から申し訳ないと思ってたんだ!
だからこそきっとショックだったんだよ!
その子がバンドをやってたことが。
そのバンドに自分が加わろうとしてたことが。
そしてそれを使命みたいに感じていたことが。
・・だけど、本当のことを知ってアイツは気づいたんだと思う。
自分にとって音楽は・・・
最もやっちゃいけないことだったんだって・・・」

元メンバー

「何を話してもお前の言葉はあいつを傷つける刃物にしかならないんだ・・・」

そして翌朝、優が向かった先は・・・

風夏の家

–107話ここまで

次回 風夏 108話へつづく

○感想

それにしてもあの話を聞いても家に行ってしまうとは。

元バンドメンバーから連絡が行っているかもしれないし、風夏は話をしてくれるでしょうか・・

スポンサードリンク

シェアありがとうございます

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

Your Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP ↑