風夏 130話 その想いを!

公開日: 

椛のお父さんが倒れてしまって病院へ。

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病院のベッドに寝ている椛父。

付き添っているのは椛、秀行、優。

医師
「色々検査はしてみましたが、特にどこも異常なしですわ。
まぁおそらく過労やないですか?
今は鎮静剤で寝てはるんで今夜は一泊して明日には帰ってもろて大丈夫です。」


「ありがとうございました」

医師
「一応薬は出しときますけど、出来たら無理せんよう言うといてください」

医師は病室を出て行く

秀行
「よかったやないか。
大したことなくて・・・」


「おおきに秀行・・・
ウチ完全にテンパってしもて・・・
アンタが戻ってきてくれへんかったらどうなっとったか」

秀行
「お前の悲鳴が聞こえた時はめっちゃ焦ったわ・・・
あんまり心臓に悪い声出さんといてくれ」


「榛名くんもごめんな・・・
アンタも具合悪いのに」


「いえ、僕はほとんど治ってますし・・・」


「・・・情けないなぁ・・・これやったらあの時と同じやん・・・」

優「え?」

風夏130


「それは仕方ないですよ・・・
自分の親が倒れたら誰だってそうなると思います。」

椛「せやけど・・・」

風夏130

秀行
「お前が親父さんと店の為に医者になりたいッちゅーのはわかるけど・・・
もし仮に上手い事国家試験に受かったとしても一年後・・・
それに研修医やら何やらやっとったら、マトモに稼げるようになるんは最短でも3年後やで?

風夏130

さっきも言うたけど、俺はお前のことホンマに好きやし。
結婚してくれたら店かて綺麗に改装してバイトも雇うたる。
お前の大好きな音楽も続けさせたる。
せやから・・・考えてみてくれ・・・」

椛は目を伏せている
「・・・」

秀行
「ほな・・・俺仕事あるよってに
お大事に・・・」

バタン

秀行は病室を出て行った。

ライブハウス中のBlue Wells

風夏130

今日はメンバーが一人熱でダウンしちゃったんですけど、彼の分まで頑張るんで楽しんでいってくださーい」

ライブハウスのマスター
「熱て・・・
ちょっとツアーやったくらいで体弱すぎやろ!!」

スタッフ
「何怒ってんすか柳さん・・・
ちゃんと盛り上がっとるやないですか!」


「ちゃうんや!
ワシが観たぁて呼んだんは・・・こんなバンドちゃう!

風夏130

どないなっとんねん!!
こんなんあのフェスの足元にも及ばへん!
ペラッペラやペラッペラ!」

スタッフ
「そうですか?僕は割とええ感じやと思いますけど」


「あかん、あかん!
やり直しやこんなもん!
明後日のライブにもう一回出したれ!」

スタッフ
「は?その日は椛ちゃんのワンマンやと」


「出せ言うてんねん!!」

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椛と優。

病院からの帰り道、夕方の街を二人で歩いている

椛は浮かない顔で考え事をしている

風夏130

優「え?」


「あいつはそんなに悪い奴やないし、それにウチのこと好きやって言うてくれてるし・・・
たしかに店は新しなってしまうけど・・・お父ちゃんのこと考えたらきっとその方がええと思うねん」


「じゃあ・・・音楽は続けるんですね・・・」

風夏130

せやないと秀行も肩身せまいやろ・・・
アイツんとこはチェーン店がぎょーさんある人気の串カツ屋やで?
そこの跡取り息子の嫁がいつまでも売れへん音楽なんかやっとったら世間体が悪いわ。」


「ホントにそれでいいんですか?」


「ええも何もそれがベストやん。
みんなハッピーになれんねんで?
まぁライブハウスの店長には怒られるやろけどしゃーないわ」


「だったら・・・・どうしてそんな顔してるんですか?」

風夏130


「ほなどないせーっちゅーねん!
お父ちゃんにまた倒れるまで店やれ言うんか!?
仲間と楽しくバンドやっとるアンタにはわからんやろうけどな!!
世の中には頑張ってもどうにもならんこともあんねん!!
音楽はめっちゃ好きや・・・
でも、もう嫌やねん・・・
大事な人が目の前からおらんようになるんは。」


「確かに・・・
僕には椛さんの人生に口出しする権利なんてないです!」

椛「せやったら・・・」


「でも・・音楽が好きなら・・・
ミュージシャンなら・・・

風夏130

椛「・・・え?」


「絶望でも挫折でも・・
なんでもいいじゃないですか。
それは絶対に今の椛さんにしか作れない曲だと思います」


「・・・今のウチにしか・・・作られへん曲・・・?」


「ってまぁ・・・これも先輩バンドの受け売りなんですけど・・
でも僕はそうやって乗り越えてきた気がします。
どんなに辛いことも・・・悲しいことも・・・」

椛、袖で涙を拭いて
「うるさいねん。
子供がエラソーに・・・」

「え・・・・」

風夏130

–130話ここまで

次回 風夏 131話へつづく

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